先取り初詣! 日本橋七福神めぐり
室町時代に始まって以来500年以上続く七福神信仰ですが、日本橋の七福神は、日本で一番短時間に七福神めぐりができるのが特長です。
しかも珍しいことに七福神すべてが神社で構成されるので初詣には最適!
というわけで、今回は神社から神社まで、歩いた時間を実際に計りながら七福神めぐりをしてみました。
椙森神社(恵比寿神)
早速小伝馬町の駅から一番近い椙森神社からスタートしました。
椙森神社(すぎのもりじんじゃ)は商売繁盛神様「恵比寿さま」を祀ってあります。もともとは右手に釣り竿左手にタイを持ち豊漁の神様でした。
創建は約一千年前。平将門の乱鎮定の命を受けた田原藤太秀郷が戦勝祈願したのが始まりです。
江戸時代には境内で富くじの興行が行われたので、「富塚の碑」が建っています。そのため毎月13日と10月3日は「宝くじ祈願」で多くの訪れます。
当日限定の御朱印もいただけるそうです。
▼椙森神社のある通りは人通りも少なく静か
▼椙森神社の本殿。右奥に社務所があります
▼本殿の左側にある手水舎。手水舎の右側が「富塚の碑」
笠間稲荷神社(寿老人)
次の訪れたのは椙森神社から人形町方面に歩いて約9分、金座通り沿いにある笠間稲荷神社です。
日本三大稲荷のひとつ茨城県・笠間稲荷神社を信仰してきた笠間藩主牧野家が、江戸時代末期に笠間からのご分霊を江戸下屋敷にお祀りしたのが始まり。
以降、日本橋魚河岸の守り神として、五穀・水産・殖産興業の守護神として商人庶民問わず信仰されてきました。
寿老人は長寿の神さまとしてだけでなく幸運の神として人々の運命を開拓してくださる、福徳長寿の守護神として祀られています。
▼笠間稲荷神社正面
▼正面の鳥居くぐって左側にたくさんのお狐さま
▼本殿と左側に社務所
▼本殿の右側、金座通り沿いの入り口
末廣神社(毘沙門天)
笠間稲荷神社から西へ約3分、周りに飲食店などがある通りにひっそりと末廣神社はあります。
勝運の神様として400年以上前から信仰されているところですが、多聞天の別名があるように財運向上、厄除け、福徳繁栄など様々なご神徳を求めて祈願する参拝者が多いところです。
かつて明暦の大火(1657年)まではこの周辺にあった遊女街「葭原(現吉原)」の氏神としての信仰も集めていました。
なお、御祭神の武甕槌命(たけいかづちのみこと)は武道の神様として日本神話に登場し、相撲の元祖とも考えられています。
▼静かな通りの佇まいの中に末廣神社はあります
▼本殿、右の社務所
▼面構えのいい狛犬。賽銭が置いてある狛犬は七福神でここだけでした
▼これは武道の神様?
松島神社(大国神)
末廣神社を出て大門通りを左に向かうと、約4分でビルの1階にある松島神社が見えます。創立は、関東大震災や戦火で記録が焼失して不詳となっています。
御祭神は大国主神をはじめ、稲荷大神、天照大神、八幡大神など14柱と他の社にくらべて多いのが特徴です。
最近ではテレビでも紹介されたように「良夢札(りょうむふだ)」が人気です。
「良夢札」にお願いを書き、枕の下に置いて寝ると良い夢が見られ、それが正夢になるというもの。札が売り切れの日も多いそうです。なお、大国主神は古事記や日本書紀にも登場する神様。国造りの神様、農業、商業、医療の神様で、人と人の縁を結ぶ神様として信仰されています。
なお大国神は、密教の大黒天が元になり、大国主命と神仏習合してできた神道の神様です。
▼ビル1階にある松島神社。鳥居の左側に社務所
▼鳥居の右側に手水舎。龍は最近つけられたもの?以前はなかったような
▼賽銭箱や狛犬はビルの1階に
宝生弁財天・水天宮境内(弁財天)
大門通りから新大橋通りに出て右方向に2分ほど歩けば、左側にモダンな建物の水天宮は見えてきます。ちょうど新大橋通りと水天宮通りが交わる角に鎮座します。
安産・子授のお宮として有名な水天宮は、昔、妊婦さんが社殿の鈴を鳴らす紐のおさがりを腹帯にしたところ、元気な赤ちゃんが生まれたところから、安産祈願で人気の神社になったそうです。
東京の水天宮は、総本山久留米から分霊して久留米藩江戸屋敷にお祀りしたのが始まりで、明治時代に現在地へ移転しました。
社殿の手前左側に鎮座するのが、芸事や学業、金運のご利益が高いわれる宝生弁財天です。
久留米藩の藩主が宝生流の能楽の技を競った際、弁財天に願をかけ、見事に勝利を収めて以来宝生弁財天として敬われています。
▼通りから見上げると本殿が光り輝くように演出?された水天宮
▼水天宮本殿左側に弁財天
▼犬がお産が軽いところから、毎月「戌の日」は普段より賑わいます
▼ここにも龍が! 神社によってデザインが違います
茶ノ木神社(布袋尊)
水天宮から西の方向に歩いて約4分で茶ノ木神社に着きます。
社務所もなく普通は御朱印がいただけませんが、年始の「日本橋七福神めぐり」の時だけはこの場所でスタンプを押してもらえます。
江戸時代に下総佐倉藩主堀田家の中屋敷に守護神として祀られていたお稲荷様が発祥です。
社の周りに立派な茶ノ木が植えられていたので「茶ノ木神社」と呼ぶようになりました。
堀田家の屋敷はもとより、周囲の町方でも、長い間火災が起こらなかったことから火伏の神様として崇められました。
今でも町内の人に「お茶の木様」として親しまれ、防災・生産の神様として信仰を集めています。
▼静かな街並みの角にひっそりと茶ノ木神社
▼鳥居からすぐお狐様がお迎えしてくれます
▼手洗舎もこじんまり
▼鳥居の両側に桜の樹が。春は立派な桜神社になりそうです
小網神社(福禄寿)(弁財天)
茶ノ木神社から西に向かって約5分歩くと小網神社に着きます。
ビルの間に挟まれこじんまりとしていますが、水天宮と同じくらい参拝者が多い人気の神社です。当日も若い女性や外国からの観光客など多くの人が参拝していました。
疫病が流行った約550年前、観世音菩薩と弁財天を安置する万福庵に、稲穂を持って現れた網師の翁を小網稲荷大神としてお祈りしたところ、疫病が鎮まったことが始まりといわれます。
福禄寿は福徳長寿の神、弁財天は商売繁盛、学芸成就の神として親しまれています。なお、総尾州檜造りの彫刻が施された社殿と神楽殿は中央区指定文化財です。
最近では11月28日に行われる「どぶろく祭」が人気で、神饌田で取れた新米から作ったにごり酒「どぶろく」が飲めます。
その時に販売される強運厄除けのすすきで作られた「みみずく」はすぐ完売するそうです。
▼正月三が日は初詣客で混雑が予想される小網神社
▼鳥居くぐって左側に福禄寿様
▼本殿左の社務所とその手前に銭洗い弁天様
▼重厚な彫刻が施された社殿
スタートの椙森神社から小網神社まで歩いた時間は約27分。
確かにそれぞれの神社間は近く、御朱印などで並ぶことがなければ、日本橋七福神めぐりは2時間かからないでしょう。
しかし実際の初詣三が日ではかなりの混雑が予想され、巡拝時間も4時間はかかるとか。
それならば、日本橋七福神めぐり公式サイトに
―日本橋通りや人形町通りは、江戸下町の伝統を持つ繁華街。懐かしい下町情緒に触れながら、参拝いただきますよう―
とあるように、混雑する三が日を外し、街並みを楽しみながら七福神めぐりをする方がご利益がありそうな気がします!